本日は先に友達のブログを紹介です。真面目なやつなんです。
看護師の仕事をしてるやつなのですが、なかなか面白いことを書いているのでおすすめです。
東京都で働く看護師のブログ~急性期がんを専門とする病院の正社員~
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それでは日記に戻ります。
中性子照射法で必要となる原子炉は、高速増殖炉かアクチノイド専焼炉。この
うち高速増殖炉についてはもんじゅ君の説明でだいたい書きましたが、アクチ
ノイド専焼炉ってなんやねん?
アクチノイド自体は前に書いたけど、このうちウランとプルトニウムの2つを
除いたものをマイナーアクチノイドと呼ぶらしー。原子炉で生成されるものと
しては、ネプツニウム、アメリシウム、キュリウムの3つがあるそうな。
この3つの元素を燃やす、つまり核分裂させる原子炉のことを指すそうです。
炉形式としてはやはり高速炉になるそうなので、中性子照射法で使用される原
子炉は高速炉、ということに落ち着きます。
さてそうすると高速炉自体がもんじゅの例でもそうだけど、開発が頓挫してい
るという点が最大の難点になってますね。最近ではもんじゅを高速増殖炉とし
てではなく、放射性廃棄物処理用としてのアクチノイド専焼炉として開発した
らどうだ?という提案もされているようです。
呼び方は違えど、高速増殖炉もアクチノイド専焼炉も基本原理は同じ。そうな
ると、もんじゅ君の説明でも触れたとおりに、高速増殖炉における問題点を解
決していく必要があります。
とてもじゃないが数年で解決できるような問題ではない。というよりも、もん
じゅ自身がちゃんと運転できるようになるというメドが2050年と言われて
いますから、まだまだ40年以上はかかるということになります。
加速器駆動法、に行って見ます。こいつはまた良くわからん用
語ですね。そもそも加速器ってなんだ?加速器というのは原子核内の荷電粒子
を電磁力を使って加速するものです。荷電粒子というのは陽子または電子のこ
とです。
この加速器で陽子を加速します。加速した陽子を重金属にぶち当てると、核破
砕反応という反応が生じて原子核が崩壊します。重金属の原子核には陽子のほ
かに中性子が多く含まれています。これらの中性子が核破砕反応の際に、原子
から外に飛び出していきます。
この中性子を放射性廃棄物にぶち当てて核種変換を行おうというのが、加速器
駆動法と呼ばれるものです。結果的には中性子照射法と同じ原理で核種変換を
させるわけですが、中性子を生み出す方法が違っているというわけですね。
現在研究されているのは、加速器駆動未臨界炉という特殊な原子炉を使う方法
です。未臨界炉と呼ばれるのは、核分裂反応が原子炉内で連鎖反応的に継続す
ることを臨界、と呼びますがこの臨界は起こらずあくまでも加速器駆動による
中性子照射による核分裂反応である、ということです。なので加速器を停めれ
ば原子炉内の核分裂は停止するということです。
放射性廃棄物の中にはこのときに核分裂反応を起こす物質もあるので。核分裂
が起きると大量の熱エネルギーが発生するので、このエネルギーを発電に使用
することが出来ます。ここで発電した電気で加速器を駆動して次から次へとこ
の反応を起こしていく、ということのようです。
加速器駆動未臨界炉の研究は、おもに日本とベルギーで行われています。日本
では京都大学・原子炉実験所で行われています。あの反原発論の急先鋒、熊取
六人衆が在籍しているところです。
原発をただちに全廃したとしても廃棄物の問題は残る。反原発の学者達が廃棄
物処理の負荷を軽減する研究にいそしんでいるわけです。今年の2/27の報
道で、加速器を使って陽子を打ち出す部分が完成したということが報じられま
した。まだまだ実用的レベルまではほど遠い感じですが、とりあえず第一段階
は達成したという感じでしょうか。
ただこの炉は軽水炉なんかと比べると複雑な構成を持った原子炉です。そう簡
単に実用化できるとは思えないですね。とはいえ今後の研究の成果に期待した
いものです。
最後に(3)ガンマ線照射法です。現在まさに、厄介者となっているセシウム
やストロンチウム。こいつを消滅させることが出来る?ホンマかいな、という
感じの技術ですが、ガンマ線自体も今まさに問題となっている放射線そのもの
です。しかもセシウムが出すガンマ線が問題になっているのに、そのガンマ線
で消滅させるですと?もしそれが本当なら、セシウムは自分で出しているガン
マ線によって消滅しないといけないはずですが・・・
消滅させるのに必要なガンマ線はかなり高エネルギーのものなんだそうです。
で、それを作るのに加速器が必要だということなんですね。
ガンマ線照射法は中性子照射法と比べてどうもわかりづらい。そこでATOM
ICAからまるごと引用してみました。
(C)電子加速器による消滅法
電子ビームによって発生する高エネルギーガンマ線を利用した消滅法が提案さ
れている。この場合、(γ、n)反応または(γ、核分裂)反応の巨大共鳴を
利用する。これらの反応断面積は比較的小さいが、大電流の電子ビームにより
高ガンマ線量率が得られる利点がある。電子加速エネルギーも100MeV程度で充
分であるために加速器開発の要求度も陽子ビームに比べて小さい。ガンマ線利
用の場合、セシウム-137、ストロンチウムなどに核反応を起こさせて短半減
期の核種に変換するものである。
全然わかりやすくなってないですが(笑)、要は中性子照射法と逆の反応を起
こさせるということ。高エネルギーのガンマ線を当てると中性子を吐き出す。
それを利用して、例えば半減期30年のセシウム137を半減期13.5日の
セシウム136に変えるということが可能です。半減期28年のストロンチウ
ム90は半減期50日のストロンチウム89に変換できる。
ただ、この方法は前記の2つの方式に比べると、エネルギーをほとんど生み出
さないのが欠点だそうです。前記の2つの方式では熱エネルギーが生じるので
それで発電できるのでエネルギー収支はプラスになりますが、この方式だとエ
ネルギー消費のほうが大きくなってしまう、ということで現在では研究が行わ
れないものになっているそうです。
ATOMICAに書いてあった消滅処理はこんな感じです。高速炉の実現が難
しくなっている現在では、加速器駆動未臨界炉が希望の星でしょうか。京都大
には頑張って欲しいものです。
ATOMICAで挙げられていた3種類の「消滅処理」では、特定の元素を狙
い撃ちにするもので、超ウラン元素とセシウムなどの核分裂生成物それぞれで
対処方法が違っているわけです。ということは、放射性廃棄物からこれらの元
素単位で「仕分け」する作業が必要となります。
この作業を「群分離」と呼んでいます。六ヶ所村の再処理工場で行っているこ
とも最初はこの群分離なわけです。あそこではウラン、プルトニウム、その他
と3つの群に分けていますが、「その他」つまり高レベル放射性廃棄物を消滅
処理にかけるにはさらなる群分離が必要となってくるわけです。
現在考えられている群分離では、おおまかに4つの元素群に分けることを考え
ているようです。(1)超ウラン元素(2)発熱性核種(3)白金族(4)そ
の他の4つ。
(1)超ウラン元素は半減期が非常に長くα線を発生する核種なので、消滅処
理対象となります。(2)発熱性核種というのはセシウムやストロンチウムな
どのことで半減期は数年から数十年と比較的短いが、高レベル放射性廃棄物の
発する熱および放射線の主因となっている核種です。これは、半減期が長くな
いので地層処分対象となります。
(3)白金族とはルテニウムやパラジウムなど、工業的に重要なレアメタルで
もあります。放射性物質なのでそのまま使うわけにはいきませんが、半減期が
長くないものについては、放射線量が安全なレベルに下がるまで保管した後、
工業的に利用することが考えられています。
(4)その他の中にも半減期の長い放射性物質は消滅処理対象、長くないもの
は地層処分対象となります。