ATOMICAで挙げられていた3種類の「消滅処理」では、特定の元素を狙
い撃ちにするもので、超ウラン元素とセシウムなどの核分裂生成物それぞれで
対処方法が違っているわけです。ということは、放射性廃棄物からこれらの元
素単位で「仕分け」する作業が必要となります。
この作業を「群分離」と呼んでいます。六ヶ所村の再処理工場で行っているこ
とも最初はこの群分離なわけです。あそこではウラン、プルトニウム、その他
と3つの群に分けていますが、「その他」つまり高レベル放射性廃棄物を消滅
処理にかけるにはさらなる群分離が必要となってくるわけです。
現在考えられている群分離では、おおまかに4つの元素群に分けることを考え
ているようです。(1)超ウラン元素(2)発熱性核種(3)白金族(4)そ
の他の4つ。
(1)超ウラン元素は半減期が非常に長くα線を発生する核種なので、消滅処
理対象となります。(2)発熱性核種というのはセシウムやストロンチウムな
どのことで半減期は数年から数十年と比較的短いが、高レベル放射性廃棄物の
発する熱および放射線の主因となっている核種です。これは、半減期が長くな
いので地層処分対象となります。
(3)白金族とはルテニウムやパラジウムなど、工業的に重要なレアメタルで
もあります。放射性物質なのでそのまま使うわけにはいきませんが、半減期が
長くないものについては、放射線量が安全なレベルに下がるまで保管した後、
工業的に利用することが考えられています。
(4)その他の中にも半減期の長い放射性物質は消滅処理対象、長くないもの
は地層処分対象となります。